第303章

強風が吹いてきた。

頭上の木の葉がばさばさと舞い落ち、鍋の盆の中にまで入り込む。野呂栞と水原刃は顔を見合わせた。

ぽつ、ぽつ。

雨粒が頬に、そして盆に落ちる。

あっという間に、鍋の盆は半分が雨水になっていた。

野呂栞が見上げて言う。

「隊長、いったん引きません?」

水原刃はうなずき、短く尋ねた。

「腹は満ちたか」

「満ちました満ちました」辛さで喉の奥までひりついていて、これ以上はとても無理だ。

「よし。会計してくる」

そう言って、さっさと動く。

二人は店内へ駆け込み、外はどしゃ降りになった。

野呂栞がふと二階を見上げると、双眼鏡を構えて「見てる、見てる」って感じで覗...

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